非FIT太陽光の買取先の選び方|失敗しない比較ポイント7つ
太陽光発電で生まれた電気を、FIT制度の枠外で売る「非FIT」の選択肢が広がっています。新設の野立て発電所はもちろん、買取期間が終わった卒FIT後の屋根上発電でも、自分で売電先を探す必要が出てきます。とはいえ買取先は1社だけではなく、固定型・市場連動型・地域新電力など特徴の違うサービスが並んでいて、料金の見方も少しわかりにくいのが正直なところです。
ここでは、これから非FIT向けの買取先を比べたい方に向けて、サービスの仕組み・買取単価の考え方・契約前にチェックしておきたいポイントを整理してまとめました。「とりあえず一番高いところに売れば良い」というシンプルな話ではないので、自分の発電量や設備規模に合った選び方を一緒に確認していきましょう。
この記事のポイント
- 非FITは「FIT制度を使わない再エネ電気の売電」のこと。期限がない代わりに価格は自分で決める必要がある
- 買取単価は固定買取型と市場連動型(JEPX連動)で考え方が大きく違う
- 地域や電力会社によって買取単価は7〜12円台/kWhと幅がある
- 「電力供給契約とのセット条件」「環境価値の取り扱い」も比較の重要ポイント
- 1社だけで決めず、複数社の条件を並べてから契約するのが基本
非FITとは?FIT・卒FITとの違いを整理
非FITをひとことで言うと、「固定価格買取制度(FIT)を使わずに、再エネ電気を売り買いする仕組み」です。FITは10〜20年という期間を区切って、国があらかじめ決めた単価で電気を買い取ってもらえる制度ですが、非FITはその枠の外側にあります。期限の縛りはないかわりに、買取単価は売り手と買い手の契約次第で決まります。
同じ枠外の話として「卒FIT」という言葉も使われます。これはFITで決められた買取期間(住宅用は10年、産業用は20年が目安)を終えた発電所のことで、卒業後の電気をどう売るかを改めて考える必要があります。卒FITの電気を売る先も、広い意味では非FITの売電先と重なる部分が多くなっています。
3つの区分をシンプルに比べる
| 区分 | 価格の決まり方 | 期間 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| FIT | 国が決めた単価で固定 | 10〜20年 | 確実な利回りを優先 |
| 卒FIT | 買取事業者ごとに自由設定 | 事業者により異なる | 既存住宅用発電所の出口 |
| 非FIT | 相対契約 or 市場連動 | 期限なし | 新設の野立て・自家発電所 |
非FITはFITのように「決められた価格を保証してくれる」枠組みではないため、自分から動いて買取先を見つける手間がかかります。その代わり、電力需要が高まる局面では市場価格に連動してFITよりも高く売れる可能性もあるのが特徴です。
非FITの買取先を選ぶ前に知っておきたいこと
買取先を選ぶ前に、まず確認しておきたいのが「自分の発電所のタイプ」と「環境価値をどう扱うか」の2つです。ここの整理が甘いまま見積もりを取ってしまうと、想定より安い単価しか提示されないことがあります。
事前に整理しておきたい3つの情報
- 発電所の出力規模(10kW未満・10〜50kW・50kW以上 など)
- 連系区分(低圧か高圧か、屋根置きか野立てか)
- 環境価値(非化石証書)を自分で売るのか、買取事業者にまとめて渡すのか
環境価値(非化石証書)の取り扱いがカギになる
非FITで発電された電気は、CO2を排出しない再エネ由来として「環境価値」を持っています。この価値は「非化石証書」という形で別売りもでき、買取事業者側もここを欲しがる傾向があります。買取単価が見かけ上は安く見えても、環境価値を分けて売れば合計でプラスになるケースもあるため、契約内容をよく読むことが大切です。
固定価格と市場連動価格の関係
非FITの買取プランには、大きく分けて「キロワット時あたり固定単価」のタイプと、「卸電力市場(JEPX)の取引価格に連動」するタイプがあります。需要が高い時期や時間帯は市場価格が跳ね上がるため、市場連動型はうまく波に乗れば高単価が期待できる一方、市場が下がる時期は単価が低くなる可能性もあります。
非FITの買取先で見かける主なタイプ
非FIT向けの買取先は数こそ多くはないものの、サービス内容は会社ごとに少しずつ違います。ここでは主なタイプを3つに分けて、特徴と向き不向きを整理します。
① 固定買取型(相対契約)
「1kWhあたり◯円」という形で、決まった単価を一定期間にわたって買い取ってもらう契約タイプです。買取価格が読みやすく、収支計画を立てやすいのが大きなメリット。卒FIT後の住宅用発電所向けプランの多くもこの形を採用しています。
東京電力エリアでは、卒FIT向けの標準プランで8.5円/kWh前後、地域や事業者によっては12円/kWh台まで設定されているケースもあります。価格が見える安心感がほしい方や、長期で安定収入を計算したい方に向いた形です。
② 市場連動型(JEPX連動)
JEPX(日本卸電力取引所)のスポット価格に連動して買取単価が変動するタイプです。市場の需給バランスを敏感に反映するため、夏冬の電力需要が高い時期や、燃料費が上がる局面では固定型よりも有利になる可能性があります。
市場連動型が向いているケース
- 発電量が大きく、価格変動を均すことで平均値を取りに行ける
- 細かい売電結果を月次でチェックできる体制がある
- 長期固定の安心感より、上振れ余地を取りたい
③ 地域新電力・コーポレートPPA系
地域の新電力会社や、再エネ100%を目指す企業向けに電気を販売する事業者(コーポレートPPA)も、非FITの買い手として注目されています。「再エネ調達をしたい買い手の顔が見える」のが特長で、社会的意義を重視したい売電者にもフィットしやすい選択肢です。
非FIT買取先を比べる7つのポイント
ここからが本題、買取先を比較するときに見ておきたい7つの観点を整理します。すべての項目で1位を取れる事業者はまずいないため、自分が重視したい順番を決めてから検討するとスムーズです。
1. 買取単価とプラン構造
まずは1kWhあたりの単価です。固定なのか、市場連動なのか、両者をミックスしたハイブリッド型なのか。表面上の数字だけでなく、「平均的にいくらに収まるか」のイメージを持てるかどうかを意識して比べると失敗しにくくなります。
2. 契約期間と中途解約条件
非FITは期限の縛りこそありませんが、買取事業者との個別契約には期間や違約金が設定されているケースがあります。途中でより条件の良い買取先が出てきたとき、柔軟に乗り換えられるかどうかは事前にチェックしておきたいポイントです。
3. 環境価値の扱い方
非化石証書を「事業者にまとめて渡す」のか、「自分で別売りする」のか。総額の手取りを左右する重要なポイントです。事業者まとめ型のほうが手間が少なく、自分で別売りするほうが上振れの余地がある、という特徴があります。
4. 電力供給契約とのセット可否
買取プランの中には「自社から電気を買うことが条件」となっているものがあります。家計の電気料金プランを変えたくない場合は、セット条件のないプランを選ぶことが優先になりますし、逆に電気料金もまとめて見直したい人にとってはセット契約が割安になる場合もあります。
5. 連系区分・出力規模への対応
同じ非FITでも、屋根置きの低圧・10kW未満から、野立ての50kW以上まで対応する規模は事業者によってまちまちです。問い合わせの時点で「この規模は対応外」と言われることもあるため、自分の発電所スペックに合うかを最初に確認しましょう。
6. 手続きの簡便さ・サポート体制
非FITの契約は、FITに比べると書類や審査が増えがちです。Webだけで完結するのか、担当者がついて伴走してくれるのかも、長く付き合ううえでは見逃せない要素です。連絡レスポンスの早さや、トラブル時のサポート窓口の有無は、契約前の問い合わせ段階で感触をつかんでおきたいところです。
7. 入金タイミングとキャッシュフロー
毎月の検針データを元に、いつ・どのタイミングで売電収入が振り込まれるのかも実は重要です。事業ローンの返済がある産業用発電所では、入金サイクルがそのままキャッシュフローを左右します。月次サイクル・隔月サイクル・年次サイクルなど、事業者ごとの仕組みを確認しておきましょう。
非FIT買取先を選ぶ流れと具体的な進め方
比較ポイントが見えたら、実際の動き方は次のような流れになります。一気にやろうとせず、ステップごとに整理していくのがコツです。
買取先選びの基本ステップ
- 発電所のスペック・年間発電量・現在の契約状況を書き出す
- 3社程度に絞って公式サイトでプラン内容を確認
- 固定型・市場連動型をそれぞれ1社以上見積もり依頼
- 環境価値・電力供給契約・契約期間の条件を一覧化
- 「最高値」ではなく「総合点が一番納得できる」プランを選ぶ
ポイントは「1社の数字だけで決めない」ことです。市場連動型は単月だと固定型より高く見えることもあれば、低く見えることもあります。年間平均で見るとどうなのか、契約期間トータルでどう振れる可能性があるのかを、必ず複数社の条件と比べたうえで判断しましょう。
非FITの買取先選びでよくある疑問
Q. FITが終わったらすぐ非FITに切り替える必要がある?
必須ではありません。卒FIT後は何もしなくても電気が余れば一般送配電事業者に「無償で」流れるだけになってしまうため、「売電し続けたいなら買取先を決める」必要があります。蓄電池を導入して自家消費を増やすという選択肢もあるため、買取と蓄電の両方を比べて決める方が増えています。
Q. 売電単価は今後どう動く?
非FITの単価は市場価格・燃料費・需要動向に影響されます。長期で見るとエネルギー需給は読みにくい部分が大きいので、固定型・市場連動型のどちらが優位かを断言するのは難しいのが正直なところです。だからこそ、リスクを片方に寄せず、自分の事業性に合うバランスを選ぶ視点が大切になります。
Q. 個人の屋根置き太陽光でも非FIT契約はできる?
事業者によりますが、10kW未満の住宅用でも対応している買取プランは存在します。ただし電力供給契約とセットであることが条件のケースが多く、料金プランも込みで比較しないと、トータルでの損得が見えづらくなります。
Q. 蓄電池との組み合わせはどう考える?
買取単価が下がっている状況では、「売るより使う」方が経済的になることもあります。日中に発電した電気を蓄電池にためて夜間に自家消費する組み合わせは、卒FIT後の出口として注目されています。買取先選びと蓄電池導入を同時に検討すると、トータルの収支イメージが見えやすくなります。
非FIT買取先選びで気をつけたい注意点
最後に、契約前にチェックしておきたい注意点をいくつか整理します。買取単価ばかりに目がいきがちですが、「契約後にもめないかどうか」のチェックも同じくらい大事です。
- キャンペーン単価は一定期間限定で、その後は標準単価に戻る場合がある
- 市場連動型はマイナス値(逆潮流抑制)が反映されるプランもある
- 長期固定契約は途中解約に違約金が発生することがある
- 環境価値を事業者に渡す場合、自社の温対法上の扱いを確認しておく
- 担当窓口の連絡先・トラブル時の対応フローを確認しておく
こうした細かい点は、Web上の料金表だけだと見えにくい部分です。実際に問い合わせて、「自分のケースだとどう計算されるか」を文章でもらえると、後から比較するときにとても役立ちます。
まとめ
非FITの買取先選びは「単価ランキングを見て一番上を選ぶ」だけで終わる話ではなく、発電所のスペック・契約期間・環境価値・電力供給契約とのセット可否を含めた総合判断が求められる場面です。固定型と市場連動型のどちらが正解という二択ではなく、自分の事業性とリスク許容度に合わせて選ぶことが、後悔しないコツになります。
非FIT太陽光の買取先の選び方|失敗しない比較ポイント7つをまとめました
今回紹介した7つの比較ポイント――買取単価とプラン構造、契約期間、環境価値の扱い、電力供給契約とのセット可否、連系区分への対応、手続き・サポート体制、入金タイミング――をベースに、複数社の条件を並べて検討してみてください。FIT制度が終わった後の電気をどう活かすかは、これからの再エネ事業の出口戦略そのものです。情報を集めて、納得感のある買取先を見つけていきましょう。